読書感想文

タイトル通り読書の感想です

日本近代短篇小説集3 岩波文庫 帝国陸軍に於ける学習・序

三人称神視点である。論文ではないので、視点は神視点なのである。勤務先の役所での昼休の軍事教練である。たちまち一個の数に抽象され、人間の安物に具体化される。教練を受ける方は三等兵に他ならない。軍隊にひっぱられてやっと二等兵になる代物である。…

日本近代短篇小説集3 岩波文庫 群猿図

三人称神視点ということか。歴史小説である。神というと誤解がある。テレビ視点とでも言った方がいいかな。とにかく歴史書ではなく歴史小説なのである。犬筑波集。都より甲斐の国へは程遠し御急ぎあれや日も武田どの。そういう歌があって、ここに出てくる武…

日本近代短篇小説集3 岩波文庫 二世の縁

視点は、一人称一元視点である。縁側に膝をついて、切り張りの障子の中へ、先生、入ってもよろしゅうございますか、と私は声をかけた。「私」は聞き役なわけだ。私はそっと障子をあけてオーバーのまま部屋へ入った。部屋に入ったところからストーリーが始ま…

日本近代短篇小説集3 岩波文庫 萩のもんかきや

視点は、一人称一元視点である。そのとき私は萩の町をあるいていた。そのとき、というのは、現在から振り返った特定の時期のことだろう。過去形を強めている。ぶらぶら歩いていた。どのように歩いていたのかを説明している。目的があってすたすた歩いていた…

日本近代短篇小説集3 岩波文庫 結婚

視点は、三人称一元視点である。主人公と思われる人物、あるいは、その人物と密接に関わる人物との、ある時点での回想ということになる。どの時点か、というのは、最後の結末で判明する。小説世界を誰が構築しているかということに注意しなければならず、そ…

日本近代短篇小説集3 岩波文庫 黒い裾

視点は、三人称一元視点である。主人公と思われる人物、あるいは、その人物と密接に関わる人物との、ある時点での回想ということになる。どの時点か、というのは、最後の結末で判明する。小説世界を誰が構築しているかということに注意しなければならず、そ…

日本近代短篇小説集3 岩波文庫 驟雨

視点は、三人称一元視点である。主人公と思われる人物、あるいは、その人物と密接に関わる人物との、ある時点での回想ということになる。小説世界を誰が構築しているかということに注意しなければならず、その手掛かりは、誰が全知であるかということである…

日本近代短篇小説集3 岩波文庫 小銃

視点は、一人称一元視点。小銃を担いだ自分の影を楽しんだ、とる。小銃なので戦争であり戦地である。また、「わたし」は兵士である。影が出来ているということは、天気は晴れである。楽しんでいる、というのは、躍動している様を言っているのであろう。日な…

群像 2021年5月号 〈世界史〉の哲学 「気まぐれな預言者」と「決断する主権者」

未着

群像 2021年5月号 国家と批評 14本を焼く

未着

群像 2021年5月号 嫉妬が大好きなあなたたちへ

未着

群像 2021年5月号 花束

未着

群像 2021年5月号 導くひと

視点は、一人称一元視点である。視点である人物の描写に注意しなければならない。なぜなら、視点の人物そのものが小説世界を構築しているからである。一ノ瀬さんがいなくなりました、という言葉で始まっている。言葉を発したのが主人公である。言葉を伝えた…

群像 2021年5月号 姫沙羅

未着

すばる 2021年5月号 ハイドロサルファイト・ゴング

タイトルからして意味がわからない。コンクというのは濃縮液のことらしい。たとえば、カルピスコンクというのは、水で薄める前のカルピスの原液のことである。で、ハイドロサルファイトというのは、漂白剤のことである。連載の第十一回目なので、ひょっとし…

すばる 2021年5月号 自分で名付ける

これ、最終回なのか。ということは、前に文章があるわけだ。だけど、いまとなっては仕方がない。冒頭、そういえば、で始まっている。前から続いている文章があって、それを断ち切っているわけだ。それが何だかわからない。次に続くのが、父親に子守唄を歌っ…

すばる 2021年5月号 僕たちはこれからどう生きるか 冬編

一人の人間の生命維持に必要な1秒当たりのエネルギー、90ワット。電球と同じくらい。あらゆる動物の代謝率は、その体のサイズで決まる。動物の代謝率、体重の3/4乗に比例する。クライバーの法則。体重が2倍になると、代謝率は1.68倍。サイズが大きくなればな…

すばる 2021年5月号 しょんなかもち

視点は、一人称一元視点である。視点である人物がどのような立場であり、どのような人物であるか注意しなければならない。なぜなら、視点の人物そのものが世界を構築しているからである。冒頭はいきなり股関節痛からである。股関節というと足の付け根、腰、…

すばる 2021年5月号 流れる島と海の怪物

視点は、三人称一元視点である。主人公の名前は田所慎一。作家であるらしい。朱音の妹の朱里と別れる時よりも大きなこと、五歳の時に起こったらしい(センターフライでないこと)。その大きなことは、父の照一、母のるり子の人生も変えてしまったぐらいだっ…

新潮 2021年5月号 ツボちゃんの話

エッセーである。とすると、その前提として、動かしがたい現実が存在している。とはいえ、科学の論文でもないので、その現実は論証されるほどの堅固なものでなくてもいいのである。内容は、坪内祐三さんという方についてである。ただ、読者である自分は、坪…

新潮 2021年5月号 道化むさぼる揚羽の夢の

こういうのって安倍公房みたいなのかな。小説をほとんど読まないので何とも言えないが。小見出しからである。本当はタイトルなのだが、そこは置いておく。羽化する男たち、とある。また、番号が1と振ってるので、最初の順番ということであろう。羽化、とい…

文學界 2021年5月号 私の身体を生きる 第三回

この文章はエッセーである。少なくともそう冠されている。とすると、(動かしがたい)現実世界というものが存在することが前提ということである。いわば座標のようなものと考えてもいい。さらに言えば、その座標の中に著者が位置付けられているわけである。…

文學界 2021年5月号 霊的世俗性──フーコー『肉の告白』論

フーコーであるが、入門書としての新書を読んだぐらいの知識しかない。しかも忘れている。パノプティコンぐらいなら知っている程度である。申し訳ないがwikiネタを見ながらということになる。「性の歴史」第四巻、肉の告白の邦訳についてである。なんで、こ…

文學界 2021年5月号 Phantom

小説ということなので描き出される世界は、任意に構築されたものである。現実世界とは無関係なのである。とすると、読者にとって、この世界を構築したのはどういう人物なのかということが重要になってくる。主人公は華美という女性である。視点は、三人称一…